歯友會 DCGSブログ

歯科業界(自由診療・保険制度)の経営効率化を支援 歯友會DCGSブログ

歯科を取り巻く環境

Environment

2014.10.06

歯科医師は本当に過剰なのか?

歯科医師は本当に過剰?

歯科医師の国際比較をしてみると、日本の歯科医師は多くなったとはいえ、人口1,000人あたり、0.7~0.8人である。これは先進国の中では多すぎるというわけでもなく、また少ないというわけでもなく、平均的な数字です。
しかしながら、東京や新潟、徳島など、特に集中している場所と、全く歯医者さんがないといった格差が非常に高くなっている現状があります。
東京都などでは特に自由診療が当たり前のように行われている一方、過疎地域では保険で患者さんをさばくので手いっぱいという状況もあります。
私がアメリカで見学してきた歯科医の感覚では自由診療が浸透しているので、地方に行こうが都心であろうが、保険制度の縛りがないので、ほぼある一定のレベルの治療が行われている一方、日本では、保険診療では必ずしもアメリカで通常の治療をされている診療の質を維持されているとは言い難い治療が行われざるを得ない状況となっています。
また、都内で自由診療が行われている医院でも、審美治療が中心であったり、インプラントに頼った診療など、偏った診療体系で経営が行われている医院も多く、適切な質の医療を提供したうえでの自由診療経営を行っている歯科医院は今だ少ないと言えるのではないかと思います。
矯正治療では、ある調査では、成人の矯正治療後に治療結果に満足している患者さんは実に3割程度しかいないというアンケート結果を聞いたことがあります。
これは私が経営する医療法人に来院される患者さんの聞き取り調査からも、「審美を取り戻すという矯正治療自体には、先生が思っているより患者さんは満足していないケースが多い」、「むしろ、矯正治療によって体調不良やかみ合わせがよくないなどの問題が発症し、それを深刻にとらえているケースが潜在的にかなり多い」という結果が得られています。
またそのような思いがけない結果から再治療を余儀なくされるケースも少なくありません。
これらの事実からしても、「歯科医療行為としての適切な質の管理が十分にできている」歯科医院は決して多いわけではなく、
「保険診療による質を維持できない」と
「偏った自由診療によって質が管理できない」、
「歯科大学での治療の教育だけで十分な質を達成することができていない」
「患者さんの治療の質そのものの要求にこたえられる技術を持った歯科医院は少ない」
などを含めて考えると、日本は先進国の中で平均的な歯科医の数を確保しているとは言えども、必ずしも質の面で過剰とは言い切れない要素があるといえるのではないでしょうか?
日本の場合、保険制度の量から、自由診療の質へのシフトが十分に行われていないというのも、歯科医師の経営が成り立たず歯科医師過剰と捕らえられていると思います。また患者さんの歯科に対する意識レベルもまだ高いとはいえません。
このような過渡期のなかで、多くの歯科医師の安易であからさまな自由診療シフトの結果、NHKで特集されるほどのインプラントのトラブルの問題が取り上げられ、日本の歯科業界は大きく揺さぶられました。今ではインプラントの市場は急降下しているようです。
また感染予防に関する読売新聞の記事では、保険という枠の中では、質へのシフトがそう簡単に進まないことを示しており、保険制度による費用と質とのナーナーな関係は崩壊し、質にはそれなりの費用がかかるという事実も徐々に浸透しつつあります。適切な治療には適切な費用が必要という理解もやがて進むでしょう。
今後は治療目的とはいえない、審美歯科治療に対するトラブルが取り上げられ、患者のための医療はいったいなんであるかということが問われてくるであろうことは想像に難くありません。
これからは、日本の歯科医師も安心して歯科医療に専念し、国民の健康維持に貢献することを考えるのであれば、能力のある歯科医は保険制度にとらわれることなく、適切な診療報酬(自由診療)に対する適切な歯科治療を提供し、一日にも10名前後の人数の患者さんを診療するスタイルへ展開して行くでしょうし、期間はかかるでしょうがいずれ全国的にもそうなってゆくはずです。
そうなれば、自由診療を行っても患者が来院していただけるだけの技術を持つものと、その技術を持たないものとの差が問題であり、歯科医師が多いことが問題ではなくなると考えるのです。
つまり、技術さえあれば歯科医師過剰問題など関係ないといえます。治す技術がある先生には患者は必ず来院するからです。今までそういった意味での競争があまり無かったことが逆に不思議な業界であったと考えるべきでしょう。

関連する記事はこちら

PAGETOP