歯友會 DCGSブログ

歯科業界(自由診療・保険制度)の経営効率化を支援 歯友會DCGSブログ

歯科を取り巻く環境

Environment

2018.04.16

医療、歯科医療のコンビニ化?

歯科医師の10年後はこうなる

これから歯科医療はいったいどうなってゆくのでしょうか?
はっきりしていることは、流通業界、通販業界、販売業界、コンビニなどですでに起こっていることがついに歯科医療業界にも訪れるということです。
私は「歯科医療のコンビニ化」と敢えて言わせて頂きたいと思います。
歯科治療は技術が勝負ですが、今後保険制度が縮小されるにしたがって、コンビニエンスストアのように、「大規模な資本による経営」と、そこに働く「安価な賃金で働かされる歯科医師」「マニュアル化による効率的かつ画一的診療」といったことがすすむことは間違いないでしょう。
また患者さんも消費を絞る傾向にあり、自分にとって本当に必要で適切な投資であれば、お金をかけるが、そうではない費用にはお金を全く使わない傾向にあります。
特にこれから、患者さんも無駄な費用はかけない傾向がますます強くなってくるはずで、審美などの要求はたとえあったとしても値下げに対する圧力が強く、オンリーワンの技術を持っていることが安定経営には絶対に必要です。
幸いにも、歯科は零細開業が多いため、仮に私どもの技術を先生に講習によって提供したとしても、多くても一生の間に十数人にしか教え切れません。また、歯科医が一生に診療できる人数も限られることから、技術習得した歯科医が増えすぎて競争の上、価格の低下という問題を生む可能性はかなり低いと予想されます。自由診療を行ううえでの実際の大変さを知りたい人はこちら
今の世の中は物に溢れており、それが歯科医業界にも押し寄せてきていることは事実です。先生を選び放題といった歯科医療は30年ほど前から考えれば患者さんの側から言えば夢のような話なのですが、実際は歯科治療はあくまで人が行う作業で、そんな安価な保険点数で最良の治療ができるはずもありません。また、患者さんの中には費用をかけてでもきちんと治療を受けたいと考えていらっしゃる患者さんも増えており、しっかりと選ばれる歯科医院作りがこれから安定経営にはぜひ必要です。
保険点数は場合によってはメインテナンスのほうが高額であり、根管治療や、義歯、修復治療ののように工程数やかかる時間にたいして見合わない保険点数の診療などがあり、自由診療でまかなうしかありませんが、十分の治療技術を習得した歯科医の割合から考えても、そう多く自由診療を行う医院が増えるとは考えられません。つまり、通常の歯科医院はメインテナンス重点の、多数の歯科衛生士を雇い入れる形態とならざるを得ず、その歯科衛生士も争奪戦と、雇用経費の高騰化で、ますます経営は厳しくなっています。
今後は、大規模な資本から大規模な経営によって、アルバイト歯科医を使ったコンビニエンスストアのような歯科医院経営形態も今後どんどん増えてくるでしょう。
それを実現するためには、限りなく効率を高め、予約システム、診療時間を最小にして、診れるだけ患者さんを診るシステムを導入する歯科医院が増加してくることは想像に難く有りません。
しかし、このような形態の歯科医院の多くの経営形態を見ると、本質とはかけ離れた審美歯科に特化したり、マウスピース矯正や、部分矯正など、特段高い技術を必要としない、本来の治療とはかけ離れた内容で利益を上げ、かつ、宣伝広告費に莫大な費用をかけて、患者さんとして必ずしも歯への意識が高いとは思えない人を集めています。一般的によく目にする広告を元に来院する患者さんの質は高いはといえません。本来は患者さんを教育する立場でありながら、審美歯科では小銭を、矯正では多種多様のメニューを提供して利益を上げていますが、これは本来の歯科医療とはいえないと私は思いますし、このようなことをし続けることは、われわれ歯科医療の本来の価値を下げる経営でしかない考えてます。(もちろん生活ができなければ元も子もありませんが、そこにどっぷりつかってしまえば、後戻りできません)
本来はより高度な、自由診療で患者さんを治すという、治療として価値のある治療を提供する一部の歯科医院が別の形で生き残る必要があると考えますし、本来そのような歯科医院が無ければいけないと思います。もちろんほんの一部でそのような動きがあり、歯科医療が完全な二極化となっています。
この自由診療も、単に時間をかけるとか技術が高いだけでなく、患者さんの病気ではないがつらいといった現症を取り除くという、いわば未病の治療を行う技術を習得しなければなりません。それについてはスーパーGPコースで取り上げて実際に習得していただくようになっております。
ですから、「自分の腕に自信がもてない」、「難しい患者さんとはかかわりたくない」と考える先生は、コンビニのような形態の歯科医院で、それほど高くない給与でせっせと働くしかありません。
今の歯科教育の現場や、日本の現状を見るとそう考えることもやむを得ない気もします。
とにかく、あまり希望が無い歯科業界で、これからもこのような状況は長く続くと思います。
このような働き方も、年齢的なもの体力的なものを考えると、長くバリバリ働き続けることは難しくなってきます。
体力的に苦しくなると、「在宅ケアーや訪問介護」などの比較的作業が複雑でなく、保険点数の高い仕事をこなしてゆくしかありません。さらに、その仕事も年々改定される保険診療報酬が下がってゆく可能性が高いため、だんだん、数をこなさなければ経済的には厳しくなってくると思います。
訪問介護や在宅の歯科は、今はまだ点数が高くておいしい市場らしく、在宅を紹介するビジネスまでありようで、厚生省がそういったことをしないよう警告を出しているようです。
介護の仕事はこれからますます必要ですし、ニーズも多いと思います。ただ、私が聞いた先生の話から考えるに、かなり後ろ向きの仕事になってしまうので、相当な体力と、精神的を持つか、こなすといった感覚で患者さんを診療しなければ、なかなか一生の仕事とゆくには、覚悟も必要だとおっしゃっていました。そして、何事にもゆるぎないほどの博愛の精神が無ければ勤まらないと思います。本来はそういった仕事のはずです。
私には、とてもそこまでの強い博愛の心がもてなかったことと、好奇心が旺盛だったので、治らない患者さんの歯をどうやれば本当の意味で治すことができるのかを探求することに歯科の人生のほとんどを費やしてしまいました。
もし介護という選択肢をしないで、生活を成り立たせる収入を得ようとすれば、経営手腕のある経営者として「人事」、「資金繰り」など一般的な経営者並みの経営に長けるか、あるいは自由診療で、「限られた難しい患者さん」か「意識の高い患者さん」をじっくり診る代わりに、結果を必ず出すかの二者択一しかありません。いずれにしても、患者さんの目は厳しくなっているので、今までのようには簡単に自由診療をしていただけるご時勢ではありません。
またこのような2極化もやがて理容業界のように、大規模経営の中で限られた腕のあるスタッフには特別料金(歯科では自由診療)で治療してもらい、それ以外に保険診療でもたくさんの患者さんを診療する形態の歯科医院が、大規模な広告戦略を打ちながら経営で成功してゆくことになるでしょう。実際一部の歯科医院ではそうなっているようですが、残念ながら技術がまだまだ伴っていません、学校での教育の不足と、歯科医療自体の技術的な難しさから、理容業界のようになるのはそう容易なことではないでしょう。
昔はほとんどが開業して、一国一城の主(あるじ)となっていた歯科医師もそのほとんどがサラリーマン化し、かなり特殊な能力を持っていたり、患者さんからここ以外では診療を受けたくないと思わせるほどの技術と、さらに、インターネットなどを利用した患者さんに知られるようになる技術の両方を兼ね備えていなければ難しい時代となってくると思います。
ただ、世の中が変わってきているため、そんなにお金に固執しなくても、自由で豊かな生活は送れる時代になってきています。私の知っている先生は、東京の歯科大学を卒業してすぐに沖縄に開業して、毎日ダイビング三昧だそうです。しかし、自分の子息を歯科大学に行かせるゆとりがあるドクターは数が減ってくることは間違いないでしょう。
私も自分の息子には、歯学部に行くことは今後相当大変だし別の道もあると諭しました。しかし本人が「歯の治療を受けて体がこんなにも変わると思わなかった、自分も可能ならそうなりたい」といって歯学部に入学しました。
10年後の歯科は、大規模効率歯科医院、訪問歯科に特化した歯科医院、自由診療で、限られた患者さんのみで成り立たせる歯科医院、の3つに完全に別れることになるでしょう。

関連する記事はこちら

PAGETOP