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歯科を取り巻く環境

Environment

2015.11.11

歯科医療10年後はこうなる

歯科医師の10年後はこうなる

これから10年間は歯科医にとって非常に重要な正念場となってきていることは間違いありません。
色々な先生の講演や、治療法を見ていてはっきり分かることは、ほとんどの先生がこれから10年、20年先の歯科業界の将来像を全く見通せていないことです。もし仮にある程度見通せたとしても、どうしてよいかわからないといった状況ではないでしょうか?
私が考える歯科を取り巻く今後10年間の、歯科界の環境の変化について書いてゆきます。
1、超高齢者社会の到来
今日本は高齢者社会を通り越し、超高齢化社会となってきています。
そして、その中で、健康な老人と、不健康な老人とに二分されてくることは言うまでもありません。
周りを見回してみても、70代でも元気で仕事も、レジャーも楽しんでいる老人も入れば、老人介護施設に入居し、場合によっては痴呆がすすんで外に出かけることはおろか、身内が誰なのかすら認識できないかわいそうな老人もいらっしゃいます。
当然前者は、仕事もしているので、歯にお金をかけたり、自分が元気でいるために必要なより元気を得るためにお金を使うという意識も高いでしょう。
一方、後者は訪問歯科診療などで必要最低限の診療を受けることになります。実際に、本人がそのような治療を本当に望んでいるか疑問ですが、苦痛やかわいそうな状態を少しでも緩和するための治療を受けるといった内容になるでしょう。
このように医療も歯科医療も、完全に2極化したニーズが超高齢者社会にも訪れることは間違いないでしょう。
人口ピラミッドが崩れ、高齢者側に傾いたとしても、働ける能力があってで元気な高齢者も増えることは間違いないでしょう。
こう考えると、老人に対しても高度な治療を求める人に対する治療を提供する診療体系とするのか、訪問診療をメインとした診療体系とするのかといった選択が歯科医の人生に必要となってくる可能性が考えられます。
はじめから訪問診療をメインとした体系にする歯科医院も増えてくると考えられますし、実際増加傾向にあります。
2、社会の所得水準の2極化と医院の2極化
老人だけでなく一般の人たちも、所得が二極化し、経済的ゆとりがある程度ある集団と、そうでない集団とにくっきり分かれてしまいます。
歯科医療もそれに対応するため、超効率化し、安価で、そこそこの歯科治療を提供する歯科医院と、より高度で緻密かつお金をかけるだけの価値のある歯科治療を提供する歯科医院とにくっきり分かれてゆくことは間違いないでしょう。
インターネットがこれだけ発達してくると、宣伝や広告だけで患者さんを集めていた医院も、技術を持たなければ、やがて真実が露呈し、超効率化した安価な治療技術を提供する歯科医院にならざるを得なくなります。
というのは、歯科医療はやはり技術力が勝負ですので、治療の効果が得られなくなれば、やがて値段に見合わないといった理由で、医院の選択と淘汰がされてゆくと考えられます。
3、カリエスの数が減少する。
これは統計学的に見ても明らかなことで、ここ20年で子供の虫歯は圧倒的に減少しています。つまり、今まで通りの歯科治療を行おうと思っても、カリエス自体が減少していますから、歯科医の治療の体系も変化せざるを得ないのです。そして20年後は治療が必要な歯も相当減少してくることが考えられるのです。つまり今までのような「虫歯を見つけたら削ってつめる」だけの治療では歯科は成り立たなくなるということです。そして、虫歯も、以前のようなものではなく、ヒビや咬耗、磨耗による歯のトラブルを緻密に治す治療技術が必要になってくると考えられます。
4、矯正治療の需要が増え、歯科医院同士の競争も激化する。
カリエスが減少すると同時に、矯正治療へのシフトが必要となってきます。カリエスが減少し、国庫の不足から保険点数は切り下げられ、保険診療だけでは経営を成り立たすことは難しくなってきている以上、保険外で行える矯正歯科治療もしくは予防歯科に治療内容をシフトせざるを得ないでしょう。
しかしながら、矯正歯科は専門医もいる関係で、競争はますます激しくなり、患者さんの奪い合いが起こるでしょう。単に歯並びを治すだけではなく、治療技術がますます要求され、技術的に横並び一線であれば、より価格の安い医院やサービスの良い、宣伝が上手く、効率のよい歯科医院が選ばれることになるでしょう。
現在は矯正業界も競争が激しく、いかに安価で、効率の良いシステムであるかが、矯正材料を選ぶ上での判断基準となっています。すなわち歯科医も患者さんも安価で、ストレスが少ない治療を求めている一方で
咬合をきちんと治療できる高度な矯正治療ができる歯科医院を求める、より意識の高い患者さんも増えており、矯正を行う歯科医院も治療技術の差による2極化が起こってくるはずです。
予防歯科も患者さんが求めるレベルも高くなるため衛生士のスキルの差による価格の差別化が起こるでしょう。
5、咬合病(顎関節症)などのより高度な技術が要求される治療が必要な患者さん増加する。
虫歯などの治療が仮に少なくなったとしても、歯に問題を抱えている人は少なくありません。
現代人は体の構造が完全に変化してきています。また敏感な方が非常に増加しているため、昔の患者さんのように簡単に治療を済ませることができなくなってきています。
現代人特有のストレスによる歯ぎしりや、咬合の不具合が原因の顎関節症が、歯に入ったひびが原因の虫歯などの治療が今までとは比較にならないほど増加してくると考えられます。これらはきちんと手入れされているにもかかわらず、虫歯ができてしまうことを意味し、現在人の抱えるストレスが原因ですので、なくなるということはありません。
このような患者さんは敏感なため高いレベルの技術が必要とされるため、仮に増加傾向にあっても治療が出来る歯科医院は限られるのです。
また、このような患者さんの場合、治療を行った歯でも、歯ぎしりなどで常にメインテナンスと、壊れた部分の再修復などが絶対に必要となると考えられます。
6、精神的に不安定であったり、敏感で治療が難しい患者さんが増加する
多くの歯科医が感じているように、近年の患者さんは変な知識をつけていながらおかしな治療を要求するタイプの扱いが難しい患者さんが増加しています。
これらの患者さんをどう見分け、そのような患者さんにどう対処するかを考えなければ、いくら患者さんが多くいらしても、その対応で振り回され診療どころではなくなります。
これらの患者さんに対する対応は今後どうしても必要となります。
6、収入や、生き方や考え方の格差が進み、歯(健康)にお金をかけるひとと、そうでない人との2極化がさらに進む。
私が20年以上も自由診療で診療を行ってきた患者さんの経過を観察して分かったことは、健康管理のために費用は、人生の中で最も重要な自己投資であるといるということです。この投資をきちんとできる人と、そうでない人とではその後の人生に大きな格差が生まれて来ている実例を多く見てきました。
人生の重要なターニングポイントでこの投資を行った患者さんはほぼ間違いなく人生が良い方向に進んでいることを実感しています。
これらの歯科を取り巻く将来像から、我々は今何をすべきでしょうか?
選択肢として、大規模経営による経営効率化、予防中心の診療、そして訪問診療のような保険点数が優遇されている分野での経営による成功です。しかし、これらはあくまでも保険制度が今までのままであり続けることが前提です。その制度がいつ変わってしまうから誰にも分かりません。
一方で歯科医としての技術を生かすことを考えれば将来に対する備えは、やはり技術の優位性と、小規模の自由診療メインの開業です。具体的にはどのようにするかは「10年後に笑うために」のページをご覧ください。

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