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Environment

2015.12.17

自由診療に必要な治療技術とは?

歯科大学の退廃

保険制度が厳しくなっている今、多くの若い歯科医が自由診療をメインとした診療体系が今の時代には必要と考えおり、最終的には自由診療のみの歯科医院を経営できることが理想と考えています。
しかしながら多くのホームページ業者や、歯科材料、歯科機械業者から聞き取り調査をすると、自由診療をメインでやっていらっしゃる先生も2年や3年は、何とかホームページや雑誌などの集客術で、患者さんを集めることが出来ても、結局長い間自由診療メインで診療を行い続けることが出来るためには、「患者さんが治ることが大前提」となるのでどうしても「治療技術が必要」であると実際の歯科医院をみて考えているようです。
治療技術が無ければ、一度こなくなった患者さんも戻ってきてくれませんし、今のようにインターネットが普及し、情報が簡単に手に入る時代では、技術的に不自然なことをしていれば、最後は患者さんにわかってしまうので、グロバルスタンダードにのっとった治療手順で治療を行えることがが必須条件といえるでしょう。
自由診療きちんと行って、患者さんに再来院していただける医院にするためには、以下のような要素が必要です。

1、治療の環境を整える
・・・自由診療を受けようとする患者さんは、感染対策についての知識は十分にお持ちですし、またそれが治療を行う上での最低限のベースになることを知っています。
2、歯の治療をきちんと行えるか・・・虫歯の治療をきちんと行うことですら、ミクロン単位の仕事ですから、かなりの技術を必要とします。虫歯をきちんと取り除いて適切な材料を充填する技術が必要とされます。最近では審美をメインで自由診療を行う先生が増えておりますが、治療後の経過は決してよいものではなく、長い目で見ると、信用を失うと私は考えます。患者さんがもっとも重きを置いているのは長い間問題なく機能してくれることです。
3、顎関節症などの現代病を治療に取り入れる・・・今や歯の治療において顎関節症は気っても切れない時代になってきました。人間が進化し、脳の機能が以前に増して優位になってきたため、かみ合わせがよりダイレクトに脳の機能に影響を与えるようになって来たのです。これからは顎関節症を治療できることも自由診療を行ってゆくうえで必須となってくるでしょう。
4、歯はその人の人生を映す・・歯は体の中でもっともその人の人となりを映す鏡です。ストレスが多ければ、歯は磨り減り、手入れが悪ければその人の今の歯に対する意識を理解することが出来るのです。それを理解しながら患者さんのより深い部分にまで踏み込んだ治療を行うことが自由診療を行う歯科医院の醍醐味でもあります。
混合診療の功罪
どんなに腕のある先生でも、はじめから自由診療だけで医院を成り立たせることはほとんど不可能ですし、軌道に乗るまでに10年以上もかかってしまうことも少なくありません。
ただ、私の経験から言うと、混合診療では自由診療における技術と保険診療における技術に差をつけることがなかなか出来ません。これは普段やっているレベルの技術をそう簡単に保険だからといって落とすことは出来ませんし。ルーチンワークのレベルで治療をするしかないからです。
正しい技術で治療を奮闘している先生ほど、保険診療を受ける人が高い技術の治療を受けることが出来るわけですから、保険診療をやればやるほどむしろ赤字になってしまうことは想像に難くありません。
一方、保険は保険と割り切って、それなりの治療をしていては、自由診療の治療技術を身に付けることが難しくなります。
やはり、保険、自由診療に関係なく、自分の今の時点での最高の治療スタイルを決め、そのレベルは落とさないように普段の診療を行い、保険診療ではなぜ治療が難しいか(単に材料のことだけの問題でなく、設備や、技術的な問題と保険制度上の問題も含め)をきちんと説明し、一人でも多くの患者さんに納得してもらいながら、自由診療で治療を受ける患者さんを増やしてゆくことが今の日本の制度の下での最短の方法です。
一見これではやっていけないように感じますが、患者さんには先生の熱意は伝わりますから、保険で得をして安くやってもらおうと思う患者さんばかりではありません。徐々に理解してくれる患者さんが増え、自由診療でも治療を受けてくれる患者さんの比率は増えるのです。
ほとんどの先生は現状の保険制度の矛盾を感じながらも、その殻からなかなか抜け出せません。
しかし、一度しかない人生をフラストレーションをためたまま終わってしまうのもまた悲しいと私は思うのです。

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